-
アリの巣を刺激するのは絶対にやめて
公園の砂場や道端、庭先などでアリの巣を見つけると、つい好奇心から棒で突いてみたり、水を流し込んだりしたくなる衝動に駆られることがあるかもしれません。しかし、アリの巣を不用意に刺激する行為は、様々な危険を伴うため、絶対に避けるべきです。その理由をいくつか解説します。まず、最も直接的な危険は、アリからの反撃、つまり「刺される・噛まれる」リスクです。アリは自分たちの巣(コロニー)を守るために、非常に強い防衛本能を持っています。巣が外部から攻撃されたと感じると、多くの場合、働きアリが一斉に巣穴から飛び出してきて、侵入者に対して攻撃を仕掛けてきます。アリの種類によっては、顎で噛みつくだけでなく、お尻の針で刺して毒液を注入するものもいます。例えば、日本にも生息するオオハリアリや、特定外来生物であるヒアリなどは、刺されると強い痛みや腫れを引き起こし、体質によってはアナフィラキシーショックという重篤なアレルギー反応を起こす可能性があり、命に関わることもあります。たとえ毒性の低いアリであっても、多数のアリに一斉に噛みつかれれば、痛みや痒みは相当なものになります。特に小さなお子様は、好奇心からアリの巣に近づきやすく、危険性を認識せずに刺激してしまうことがあるため、保護者の方の注意が必要です。また、アリの巣を破壊する行為は、そのコロニーの存続を脅かすことになります。巣の中には、女王アリや、これから成長する卵、幼虫、蛹がたくさんいます。巣が破壊されると、これらの次世代が死んでしまったり、コロニー全体の機能が麻痺してしまったりする可能性があります。アリは生態系の中で、土壌の改善や他の昆虫の捕食など、重要な役割を担っています。むやみに巣を破壊することは、地域の生態系バランスを崩すことにも繋がりかねません。さらに、家の中やその近くにできたアリの巣を刺激した場合、パニックになったアリが家の中に大量に侵入してくる可能性もあります。そうなると、駆除が一層困難になります。アリの巣を見かけても、興味本位で近づいたり、刺激したりするのは非常に危険です。もしアリの巣が生活の邪魔になる場所にある場合は、自分で刺激するのではなく、適切な駆除剤を使用するか、専門業者に相談するなど、安全な方法で対処するようにしましょう。