ハッカ油がゴキブリ対策に効果的であることは広く知られていますが、その効果を最大限に引き出すためには、正しい使い方を理解することが不可欠です。使い方を誤ると、効果がないばかりか「逆に寄ってきた」と誤解するような事態を招きかねません。まず最も重要なのは濃度です。ハッカ油スプレーを自作する場合、一般的には水百ミリリットルに対してハッカ油を十滴から二十滴程度加えるのが目安とされますが、これはあくまで芳香剤としてのレシピです。ゴキブリ忌避を目的とするならば、もう少し濃いめに作る必要があります。無水エタノール十ミリリットルにハッカ油を二十滴から四十滴ほど混ぜ、その後で精製水九十ミリリットルを加えてよく振り混ぜると、より効果の高いスプレーができます。エタノールを加えるのは、油であるハッカ油を水に混ざりやすくするためです。次に重要なのが使用する場所です。ゴキブリを家の中から追い出すのが目的なのか、外からの侵入を防ぐのが目的なのかで、撒くべき場所は変わります。侵入防止が目的ならば、玄関や窓のサッシ、換気扇、エアコンの配管周りなど、外との隙間になりうる場所に重点的にスプレーします。すでに家の中にいる個体を追い出したい場合は、キッチンのシンク下や冷蔵庫の裏、家具の隙間など、潜んでいそうな場所に直接吹きかけるのが効果的です。ただし、この方法は隠れていたゴキブリを驚かせて表に飛び出させてしまう可能性があることを覚悟しておく必要があります。また、ハッカ油の効果は永続的ではありません。香りは数日で薄れてしまうため、効果を持続させるには三日に一度など、定期的にスプレーし直す必要があります。ハッカ油はあくまで忌避剤であり、殺虫剤ではないという限界を理解し、家の清潔を保つ、餌になるものを放置しないといった基本的な対策と併用することが、賢い使い方と言えるでしょう。