マンションの高気密化が招く冬の虫害
現代の都市部における住環境特に鉄筋コンクリート造のマンションにおいては気密性と断熱性が飛躍的に向上しておりこれは省エネルギーや居住性の観点からは素晴らしい進歩である一方で皮肉なことにゴキブリという招かれざる客にとっても一年中活動可能な常春の楽園を提供することになってしまいました。かつての木造日本家屋であれば冬場は隙間風が入り込み室温が外気温近くまで下がるためゴキブリにとっても過酷な環境でしたが、現代のマンションは隣接する住戸からの熱伝導や24時間換気システムによる一定温度の維持さらには床暖房の普及などによって壁の中や床下が常に暖かく保たれており彼らが冬眠する必要すらなくなりつつあるのが現状です。実際に害虫駆除の現場では真冬であるにもかかわらずマンションの高層階でチャバネゴキブリが大量発生している事例が後を絶たず、これは彼らが寒さを避けるために屋外から侵入するのではなく建物内部で世代交代を繰り返しながら定着してしまっていることを示唆しています。またマンション特有の構造である配管スペースや電気配線のダクトは建物全体を縦横無尽に走る高速道路のような役割を果たしており、一軒の住戸で駆除を行っても別の部屋や共用部分に逃げ込みほとぼりが冷めた頃に戻ってくるというイタチごっこが繰り返される原因ともなっています。このような環境下では個人の努力だけでは限界があるため管理組合全体での定期的な排水管清掃や駆除剤の散布といった組織的な防衛策が求められますが、まずは居住者自身が高気密住宅はゴキブリにとっても快適であるというリスクを正しく理解し冬場であっても換気や清掃を怠らない姿勢を持つことが重要です。